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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

線上閱讀大阪 圭吉《とむらい機関車(とむらいきかんしゃ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 頁

青空文庫

五

北太平洋の朝ぼらけは、晴れとも曇りとも判らぬ空の下に、鉛色の海を果てしもなく霞ませて、ほのぼのと匂やかだった。

昨夜根室を出た監視船の隼丸は、泡立つ船首にうねりを切って、滑るような好調を続けていた。船橋には東屋氏を始め、船長に根室の水上署長、それから丸辰の親爺たちが、張り切った視線を遠くの海へ投げかけていた。中甲板の船室では、数名の武装警官達が、固唾を飲んで待ち構える。

こんなに広い海の真ン中で、果して釧路丸が発見かるだろうか? その予想は見事に当って、隼丸は、そのまま緊張した永い時間を過すのだった。

けれども、午後になって遥かな舷の前方に、虹のように見事な潮を吹き続ける鯨群をみつけると、今まで無方針を押通した東屋氏の態度がガラリと変って、不意に隼丸は、ひとつの固定した進路に就くのだった。

「うまく発見かった。あの鯨群を見逃さないように、遠くから跡をつけて下さい」

東屋氏は続けて命じた。

「それから、無線電信を打って下さい。電文は――捕鯨船ニ告グ、東経152、北緯45ノ附近ヲ、北北東ニ向ウ大鯨群アリ――それほどの大鯨群でもないんだが」