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どらねこかんさつき

どら猫観察記

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《どら猫観察記(どらねこかんさつき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,670 字 · 12 頁

青空文庫

第一に猫の終りというものが、いつの場合にも我々の知解の外に在った。犬には無いことだが猫を置くときだけは、最初から年限を言い渡してやるがよいと謂った。そうすれば時満ちて何処へか往ってしまうのである。そんな風だから老猫は化けると伝え、又阿蘇の猫嶽の如く、深山に彼等の集合地があるものと信ずる人もあった。祖母から曾て聴いた話に、信州で或人が久しく煩って居ると、始終病床の周りに猫が来て離れない。実にいやな猫だ。気味の悪い猫だ。早くよくなったら棄ててしまおうと、口癖のように謂って居た。それがいよいよ全快して其猫を風呂敷に包み、是から棄てて来ると家を出て行ったが、それっきり当人もとうとう還って来なかったという。

猫が物を言ったという話も多い。是も祖母から聴いたのだが、同じ山国で春に入ると、門の通りをゴマメ売りが振れてあるく。或日静かにして居ると障子の外で、ゴマメゴマメと謂う声がするが、商人の表を呼ぶ声よりも小さく又低いので、不思議に思って障子をあけて見ると、街道は森閑として只縁側に猫が居るだけであった。多分ゴマメ売りが来る毎にゴマメを貰うので、其声を覚えて居て真似て見たのであろうという。