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ながうたかんじんちょう

ながうた勧進帳

酒井 嘉七

線上閱讀酒井 嘉七《ながうた勧進帳(ながうたかんじんちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,698 字 · 26 頁

青空文庫

いいえ、そんな事は絶対にございますまい。そうすれば、若しか……死んでいられたのではございますまいか! 若し、光子さんが、死体になった師匠を前にして、お稽古をされていたものとすれば、三味線は誰が弾いていられたのでございましょう。もとより光子さんの外には誰とて人は御座いません。しかし、勧進帳の唄をあげられたばかりの光子さんが、まだお稽古されていない、勧進帳の三味線を御存じの筈は御座いません。……

が、あの、

※(歌記号、1-3-28)判官おん手を取り給い

と、いうところを、

※(歌記号、1-3-28)判官その手を取り給い

と、唄われたことを考えますと、

光子さんは、師匠殺害の計画をたてられた後、ひそかに第二の師匠のもとで、前もって勧進帳の唄も三味線も、教わっていられたのではございますまいか。そうすればあの時に死体を前にして、師匠の替りに自分が三味線を弾き、お稽古をうけている風を装うて、自分一人で唄っていられた……

しかし、第二の師匠は、たまたま改正された文句、

※(歌記号、1-3-28)判官その手を取り給い

と教えていられたので、わざと、その個所を二三度くり返している内に、つい、その癖が出て、後の様に唄い、自分でも気付かずに、そのまま先に進んで行かれた――と考えられるで御座いましょう。