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はたしじょう

はたし状

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《はたし状(はたしじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,525 字 · 39 頁

青空文庫

二人の二十年ちかい友情には、ここでは触れる必要はないが、思いかえすと涙ぐましくなるような、感動に満ちた出来事が少なくない。第二の記憶のなかでは、英之助はいつも保護者であり、必要なときはいつでも慰めと励ましを与えて呉れる存在だった。……彼は考え深く、おちついていて、言葉少なで、動作も静かにおとなびていた。彼を和田へ伴れていったのは第二であるが、和田の家人も彼に対してはあしらいかたが違った。和田には又之助、小三郎、しの、みよという四人兄妹がいて、常にかれらの友達が賑やかに出入りした。第二もその一人であり、八木千久馬も仲間であった。いったいが解放的な家風だったのか、和田では相当なわるふざけをしても叱られることがなかった。相撲を取って障子を抜き襖を倒すようなことがあっても、たいていは笑って済まされた。……軍兵衛は第二にとって伯父であるが、話が好きで、家にいればいつも赤い顔で、側へ寄るとぷんぷん酒の匂いがした。

――こら坊主共、あまり家を毀すではないぞ、こちは貧乏だからな、少しは遠慮して暴れろよ。

叱るにしてもせいぜいそのくらいだった。来る者には誰彼の差別を決してしない、身内も他人もまったく平等待遇であった。