輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ひやめしものがたり

ひやめし物語

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《ひやめし物語(ひやめしものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,861 字 · 31 頁

青空文庫

そして三十日ほどするうちに、そんなこともいつか記憶の底へ沈み去ってしまった。翌月の末になって、長兄は本当に小遣を増してくれた、然も三月分を纒めて呉れたのである。

「これからずっとこうするよ、そのほうが遣いみちもあるだろう」又左衛門はそう云った、「けれども遣ってしまうと三月めが来るまでは出さないぜ、前借はお断りだよ」

「たいてい大丈夫です、いただきます」

大四郎はちょっとわくわくした、額にすればたいしたことではないが、そういうように纒まった金を自分のものにした経験がない、それだけあれば安心して物も買えようし、また望むならちょいとした贅沢くらいはできそうだ、そして彼は初めて遊興ということを考えた。

「ひとつ豪遊をしてやろう」

彦三町の地端れに「河重」という料亭がある、浅野川に望んだ野庭づくりの風雅な家で、富裕な藩士の宴席などによく使われる、ゆうべは河重でね、などと云うことが若い仲間にはみえの一つになるくらい、ふつうではちょっと近づきにくい場所だった。どうせ遊ぶなら詰らない処の五たびより河重で一どのほうがいい、大四郎はこう考え、或る日ちゃんと着替えをしてでかけていった。