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ふたりのおばさん
ふたりのおばさん
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《ふたりのおばさん》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 4,817 字 · 10 頁
」
「親のひたいって変だな。」
「親のひたいのように大切なところだということですよ。」
「そう。」
「テツビンでもジュウノウでも、火にやけたものはおかないほうがいいね。」
それ以来、リョウヘイはよくわからなかったが、シキイの上にテツビンは置かないことにした。おばさんがほんとうのことをいったかどうかわからないが、シキイに家の神がいるということ、親のひたいみたいだということが、ながいあいだ忘れられなかった。
おばさんはどんな虫でも、すぐに殺すことがなかった。つまんで庭にすてていた。そして殺すなとはいわなかった。殺さんほうがいいといった。殺さないほうが気がらくだったから、これもおばさんのいうとおりに、アリでも、クモでも、たいていつまんですてた。
冬の雪がとけると、道路が悪くて歩けなかった。アシダというものをいなかでは、いまだにはいているので、雪のかたまりや水たまりでよくころぶのだった。ころぶとヒザのところに泥がくっついて、そのまま帰ると、リョウヘイは母にしかられるのがこわかった。リョウヘイはもらい子であったから、母にすかれなかったし、母はしかってばかりいた。着ものに泥をくっつけてかえれなかった。