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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
線上閱讀若山 牧水《みなかみ紀行(みなかみきこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 102,087 字 · 203 頁
今まで続いた密林と截然たる区劃を置いて其処には全部白々とした枯木の林立があった。枝は折れて巨大な幹のみ聳ゆるもあり、ばらばらと白い枝を張り渡して枯れているもある。これらはみな数年前、大正二三年の頃の焼岳大噴火の時にその熱灰を被ったものであったのだ。なお少し行くと次第に枯木は尽きて、終に山肌一面が真白に崩れ落ちている所に出会った。此処を通るはかなり危険であった。上下何百丈かにわたるざらざらとした崖を横に切って紐の様な径がついているのだが、両足を揃えては立ち停る事も出来ぬほどの狭さである。自然崖の腹を両手で抱く様にべったりと身体を崖に寄せて片足ずつ運ばすのである。心して踏むその足許からは断えず音を立てて白色の土塊が落ちてゆくのだ。ばらばらと崩れ落ちてゆく遥かの下には梓川が岩の間を狭く深く流れている。
其処を過ぎると広大な川原に出た。ただの川原でなく、山の火の流れたあとの川原である。見る限り、浪の起伏に似た岩石の原となって、ところどころに例の骨ばかりの枯木が梢を見せている。そして其処からは直ぐ眼の上にその火山のあらわな姿が仰がれた。遠くから望んだ通りに、この火山は山の八合目ほどより上の到る所から煙を噴いているのであった。