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めくらぞうし

めくら草紙

太宰 治

線上閱讀太宰 治《めくら草紙(めくらぞうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,695 字 · 14 頁

青空文庫

毎夜、毎夜、万朶の花のごとく、ひらひら私の眉間のあたりで舞い狂う、あの無量無数の言葉の洪水が、今宵は、また、なんとしたことか、雪のまったく降りやんでしまった空のように、ただ、からっとしていて、私ひとりのこされ、いっそ石になりたいくらいの羞恥の念でいたずらに輾転している。手も届かぬ遠くの空を飛んで居る水色の蝶を捕虫網で、やっとおさえて、二つ三つ、それはむなしい言葉であるのがわかっていながら、とにかく、掴んだ。

夜の言葉。

「ダンテ、――ボオドレエル、――私。その線がふとい鋼鉄の直線のように思われた。その他は誰もない。」「死して、なおすすむ。」「長生をするために生きて居る。」「蹉跌の美。」「Fact だけを言う。私が夜に戸外を歩きまわると、からだにわるいのが痛快にからだにこたえて、よくわかるのだ。竹のステッキ。(近所のものはムチと呼んでいるのを、おれは知って居る。)これがないと、散歩の興味、半減。かならず、電柱を突き、樹木の幹を殴りつけ、足もとの草を薙ぎ倒す。すぐ漁師まち。もう寝しずまっている。朝はやいのだから。泥の海。下駄のまま海にはいる。歯がみをして居る。