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ろまんどうろう

ろまん灯籠

太宰 治

線上閱讀太宰 治《ろまん灯籠(ろまんどうろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 37,222 字 · 74 頁

青空文庫

家族のひとたちの様に味噌汁、お沢庵などの現実的なるものを摂取するならば胃腑も濁って、空想も萎靡するに違いないという思惑からでもあろうか。食事をすませてから応接室に行き、つッ立ったまま、ピアノのキイを矢鱈にたたいた。ショパン、リスト、モオツアルト、メンデルスゾオン、ラベル、滅茶滅茶に思いつき次第、弾いてみた。霊感を天降らせようと思っているのだ。この子は、なかなか大袈裟である。霊感を得た、と思った。すました顔をして応接室を出て、それから湯殿に行き靴下を脱いで足を洗った。不思議な行為である。けれども次女は、此の行為に依ってみずからを浄くしているつもりなのである。変態のバプテスマである。これでもう、身も心も清浄になったと、次女は充分に満足しておもむろに自分の書斎に引き上げた。書斎の椅子に腰をおろし、アアメン、と呟いた。これは、いかにも突飛である。この次女に、信仰などある筈はない。ただ、自分のいまの緊張を言いあらわすのに、ちょっと手頃な言葉だと思って、臨時に拝借してみたものらしい。アアメン、なるほど心が落ちつく。次女はもったい振り、足の下の小さい瀬戸の火鉢に、「梅花」