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わがあいするしじんのでんき(さん)
わが愛する詩人の伝記(三)
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《わが愛する詩人の伝記(三)(わがあいするしじんのでんき(さん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,406 字 · 22 頁
彼の乱酒行のもっとも甚だしい時であった。私は彼のすすめで彼の家近くに引越し、今日に至っている。
昭和七年に北沢に彼は遺産で家を建てた。まわりは悉く渋いココア色で塗り潰した家である。彼はこの家で若い第二夫人を迎えた。その年の夏、はじめて軽井沢に別荘を借りて住み、私と萩原は夕方五時半の時間を決めて町の菊屋で落ちあい、ビールを飲んだ。若い時分のくせをこの避暑地でうまく都合つけたのも、よい思いつきであった。彼は五時半には菊屋に現われ、私もその時間にはおくれずに現われた。そしてビールを二本あけると二人は別れた。彼は若い妻のいる別荘へ、私は自分の家へ、そして私達はそれぞれにあらためて家で晩酌の膳についたのである。併し彼の別荘借りは一年しか続かなかった。
昭和十七年(一九四二)五十七歳
これが萩原が死んだ年号と、歳である。私はいま自分の年齢で計算してみると萩原よりも十二年も横着に生きのびたことだ。運がよいのか悪が強いのかお前みたいにズルイ奴はいないよ、十二年も生きのびるなんていい加減にしろと、萩原朔太郎は笑いながらいうかも知れない。ほんとに済みませんです、うかうかと生きて来て了ったが、多分僕もそろそろお暇をいただく時分だから、君にも会えそうな気がするが、何処でどう会うものか、誰も死から還って来た人が喋ってくれたためし