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わがまち

わが町

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《わが町(わがまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 93,840 字 · 186 頁

青空文庫

といって、今更漫才の仲間入りも出けんさかいな」

半袖を着た〆団治が西瓜の種を吐きだしながら言うと、相変らず落ちぶれている相場師が、

「えらい藪蚊や」

と、団扇でそこらぱたぱた敲きながら、

「――〆さん、おまはん一ぺんぐらい、寄席の切符くれても良えぜ。わいもおまはんと長いこと附合うてるけど、今まで一ぺんだって切符くれたことがあるか? ほんまにけちんぼやぜ」

「そない毒性な言い方しイな。いまに遣るわいな」

「遣る、遣るて、おまはんはなんぼ口が商売か知らんけど、日の丸湯の鑵といっしょで湯(言う)ばっかしや。――なあ、お婆ん、そやろ?」

「そうだすとも。大体〆さんは宣伝たら言うもんが下手くそや。みんなに切符くばって、寄席へ来てもろて、あんたが出る時、ようよう〆団治いうて、パチパチ手エ敲いて貰うようにせなあかん。そういう心掛けやさかい、あんたはいつまでたっても前座してんならんネやぜ、それに、なんだっせ、いつまでも『無筆の片棒』一点張りではあきまへんぜ。今どき無筆やいうようなこと言うてたら、一生うだつがあがれへんぜ。――なあ、君ちゃん、そやろ?」

羅宇しかえ屋の婆さんはもう歳で、別人のように声が低かった。