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わがまち
わが町
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《わが町(わがまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 93,840 字 · 186 頁
鶴富組の主人は大きな事業をやり、随分金もありながら、汽車はいつも三等に乗るという人であった。
「一等や二等に乗ったからって、早く着くわけじゃない」
というのが持論であった。
そうして次郎と君枝は市岡の新開地で新世帯をはじめたが、新居でおこなわれた婚礼の晩ちょっとしたごたごたがあった。
おひらきが済んで、他吉が〆団治といっしょに帰ろうとすると、次郎と君枝は引き止めて、
「お祖父やん、今日は家で泊ってくれはれしまへんのんか?」
「当り前やないか」
他吉に代って、〆団治が答えた。
「――若夫婦のところへ、こんな老いぼれの他あやんが居てみイ。陰気臭いやら邪魔ややら」
〆団治は口が悪かったが、他吉は今夜は怒らなかった。ふん、ふんと上機嫌にうなずいている。
「まあ、いやな〆さん」
白粉の奥が火を吹いた。次郎もちょっと照れたが、
「ちょっともそんな遠慮要らへん。今夜は泊ってくれはるやろ思て、ちゃんと寝床(ねま)もとっといたのに……もう、帰りの電車もあれしまへんやろ」
「無かったら、歩いてかえる」
「ここから河童路地まで何里ある思てんのん? お祖父ちゃん、〆さんにひとり帰ってもらうのん気の毒やったら、あとさしででも一緒に寝て貰たらええがな……」