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イデオロギーのろんりがく

イデオロギーの論理学

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《イデオロギーの論理学(イデオロギーのろんりがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 頁

青空文庫

尤も制約が今、直接だとか間接だとか云うのは、程度の問題であり、それ故要するに程度の差に過ぎないと云われるかも知れない。両者の間の量的連続に於て、一定の限界を引いて直接と間接とを左右に引き分けることは出来ないかも知れない。併し、現実的なるものの最も著しい特色は、量が連続的に推移するに際して、やがて質の対立を結果するという点に在る。もはやであるからこの時、直接と間接とは単なる程度の量的差異ではなくして、質の上の相違で事実上あるのである。さてこの消息が、自然科学に於て次の事情として現われる。

歴史は自然科学に於ては否定される。自然科学――物理学を考えよ――は時間をば、その固有の時間性即ち歴史性、に於てではなく、空間化されたる一つの次元として使用する。成程そこでは時間軸は抽象し去られはしないが、時間性の原理――歴史的現実性の原理――は抽象し去られている。自然科学の世界像はそれ故元来、時間性――歴史性――の規定からは独立しているものである。自然科学が構成されるのは、無論のこと夫々の時代に於ける人間によるのではあるが、歴史のもつそのような――時代という――現段階の性格は、もはや論理構成の原理内に組織的に織り込まれてはいない。