輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

カストリこうじつろく

カストリ侯実録

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《カストリ侯実録(カストリこうじつろく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,619 字 · 31 頁

青空文庫

一七九四年の一月十八日、つまりシモン夫婦が太子の専任看護人を辞任した日の夜の十二時頃、こっそり寝床からひきだされ、塔をつなぐ頂上の石畳の通路を通り、久しく無住のままになっていた北塔の四階へ移された。結局のところ太子は一度も暗牢へは入っていないのである。最初の第一日から暗牢へ入れられたのは、ジャヴェル(第十五区)に住んでいたシモンの先妻の子、ガブリエルという十歳の少年で、よく事情をいいきかせ、充分納得させた後、身代りにそこへ入れた。それはシモンの細君の全然知らないことで、七月二十七日、恐怖政治が終った日、タンプルへ訪ねてきたバラッス子爵に、「死にたい」といったのはその子供だったのである。

ルイ・シャルルはサンルウという使丁長と雑役ミシュウの庇護のもとに、西塔の四階で満二年の間、静かに暮していた。隔日にフィルマンという家庭教師がやって来、夜半、こっそり姉のいる西塔へ遊びに行くことも出来、不自由だがさほど不足もない生活をつづけた後、一七九六年の七月十四日、連盟祭の当日、遊びにきていた雑役の子供たちにまじってなんのこともなくフラリとタンプルを出てしまった。