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クリティシズムとにんしきろんとのかんけい

クリティシズムと認識論との関係

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《クリティシズムと認識論との関係(クリティシズムとにんしきろんとのかんけい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,091 字 · 50 頁

青空文庫

文化という言葉が改めて新しく登場して来たのは、世界大戦を契機としてである(文化という字は文明開化の略であるから従前から無かったものではないが)。桑木厳翼博士や土田杏村氏等の数群の文化哲学者が現われ、文化の意識に立脚して文明批評を試みたのはその時期だ。だがこの際の文化という概念は、云うまでもなくドイツ・イデアリスムスの系統のものであって、文化主義の埒を出ることが出来なかった。云わば小市民的インテリゲンチャの世界観の一支柱の類でしかなかった。而も文化なるものが何であれあまり掛けがえのない社会的実在性を認められて来なかった日本の文化伝統にとっては、之は殆んど取って付けたような流行物であったため、一部のアカデミーに於て多少物の役に立った点を除けば(社会科学や文化科学の認識論や科学クリティシズムとして――例えば左右田喜一郎博士の場合)、大衆的には極めて安価な而もやや滑稽なレッテルにさえ堕して了った。「文化」は文化住宅式なものともなり更に文化猿又式のものとさえなって了わざるを得なかった。つまり「文化」は大衆によって批判し去られた。

文化の観念が小市民的狭隘さを脱し、それだけではなく十八世紀的な市民性をさえ脱却した処の民主性にまで到着したのは、世界を通じてごく新しい現象だが、日本も決して例外ではない。