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ゴールデン・バットじけん
ゴールデン・バット事件
海野 十三
線上閱讀海野 十三《ゴールデン・バット事件(ゴールデン・バットじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,946 字 · 46 頁
婦人靴の恰好に、三和土の上が湿りを帯びていながら、そこに婦人靴が見当らないということはどういうことを意味するのだろう。と考えたとき、奥の間で何だか女の啜り泣くような声が一と声二た声したような気がした。ハッとして思わず前身を曲げて聞き耳を立てたところへ、手間どった丘田医師が洋服に着換えてヌッと出てきたので、これには私も周章てた。
「どうかしましたか」と丘田医師は不機嫌に云った。
「イヤ、誰方か患者さんがおありじゃないですか」
「有りませんよ。お手伝いが歯を痛がっているのです」
そういう声は変に硬ばっていて、嘘を云っているのだということを証明しているものだった。
私達は外へ出たが、そのときは話題が、例の重傷を負うた金青年の上に移っていた。丘田医師の話では、金青年を知ってもいるし、診察もしたことがあると云っていたが、何病であるか、それは云わなかった。そして、私の熱心な問いに、時々トンチンカンな返事をしながら、しきりに足を早めるのだった。
3
折角駆けつけて呉れた丘田医師だったけれど、重傷の金青年は、私が出掛けると間もなく事切れたそうであった。
帆村の案内で、金の屍体のところまで行った医師は、叮嚀に死者へ敬礼をすると、懐中電灯を出して、傷の部分を診察した。