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ジストマたいじのはなし
ジストマ退治の話
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《ジストマ退治の話(ジストマたいじのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,042 字 · 23 頁
それでも案外よく持って、その冬も無事に越し、伊東で第二回目の夏を迎えた。伊東の暑さには、前年の夏でこりたので、その夏は涼しい札幌で越すことにきめて、北大病院へ、今から思えば贅沢な入院をすることにした。毎日ベッドの上で静かにねころんでいて、出来るだけ御馳走を食って、腹部へレントゲンをかけていた。これで目方が少しずつでも増して行けばしめたものだというので、毎日の食事量を精しく記録し、一週間ごとに目方を正確に測ることになった。
ところが心細いことには、目方は一週間ごとに正確に減って行った。初めは汽車の疲れの残效果だろうということであったが、三週間目も、四週間目も、物理実験のように正確に、一定量ずつ目方が減って行く。こう数量的に正確に、生命の衰えがはっきり見えるのは、あまり気持のよいものではない。どうもこれはいかんぞと、自分でも思うようになった。
そういう悲境の最中に、岩波の小林君から、一通の手紙がとどいた。それが私の病気治療に一転機を劃したものなのである。その手紙には、小林君もどうも原因不明の妙な病気で、この数カ月悩んでいたが、けっきょく肝臓ジストマであることがわかり、その治療をしたら大変元気になったと書いてあった。