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ツルゲーネフのいきかた
ツルゲーネフの生きかた
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《ツルゲーネフの生きかた(ツルゲーネフのいきかた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,189 字 · 22 頁
それには性格の強さが足りなかったのであろう。わたしは敵に対してより強い打撃を加えるために、自分の敵から遠ざることが必要であった。この敵は私の目に一定の現象を備え、一定の名をもっている。――それはほかならぬ農奴制度である」
これは彼の心持の真実の一面であろう。ツルゲーネフはゲルツェン会の伝統をもってニェクラーソフ、ベリンスキー等とともに西欧派に属するユートピア的社会主義者であり、当時のロシアよりも早く資本主義が発達しているヨーロッパ諸国、特にフランス・インテリゲンツィアの理想主義的解放論に深く影響されていた。その上彼自身が率直に認めている性根の弱さ、そして彼に関するあらゆる伝記者がツルゲーネフの進歩的なものに対する敏感さとともに特筆している意志の弱さ、優柔不断な気質などが作用して、彼は同時代の西欧派に属する芸術家、思想家でもニェクラーソフやベリンスキーがしたように、ロシアの中でツァーリズムの暗黒と日夜闘いつつ果敢に新しい時代を啓いてゆく仕事に従事することには堪えず、自身は遠のいてパリからの目で「ロシアの破船的状態」を憂わしげに観察し、そこから無限の努力を経て頭をもたげ新しい歴史を担おうとする若いロシアの男女のタイプを観察し、小説に描くことになったことも理解されるのである。