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ニュー・ヨーク 『せいしゅんのじがぞう』より
ニュー・ヨーク 『青春の自画像』より
前田河 広一郎
線上閱讀前田河 広一郎《ニュー・ヨーク 『青春の自画像』より(ニュー・ヨーク 『せいしゅんのじがぞう』より)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,334 字 · 13 頁
』
『僕は宿を探さねばならんでな、木元。どこか、この辺に君の心あたりの家があるかね?』
私は、むきになって木元を小突いた。
『おっ、宿、宿。すっかり三沢君と話しこんで、忘れるところだった。ともかく、一応出よう。』
木元は、すっかり正気にかえって、ウィスキーの空き罎を紙屑籠の中へ投りこむと、立ちあがった。
『この辺はべたに借間があるんで、心配はいらんさ。こーッと、五十七丁目だから、次の通りへ出てみるかね。』
大股に歩いて行く彼には、もはや三沢のところでとぐろを巻いた姿はなかった。十月末というのに、外套なしの姿は、いくらか淋しかったが、あれだけ飲んだウィスキーの気配もなく、しゃっきりしたものだった。それから、低声でこうつけ足した。
『――三沢の奴、あれだけ噛ましておけば、当分大丈夫だ。あれはね、これから重要な役割をはたす男なんだ。あれで、君、みかけによらぬ大金を持ってるんだよ――』
なんのことかわからないが、この数学の教師はあんがい長いメートルで、人を計ってみているのかも知れない。私が『Furnished Room』のサインをみつけて、部屋を交渉しているあいだ、彼は黙ってそれを聞いていたが、終ると、うなずいて、さっさと歩き出した。