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ヒューメーンということについて

ヒューメーンということに就て

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《ヒューメーンということに就て(ヒューメーンということについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,991 字 · 8 頁

青空文庫

論を見て其の論の拠点までも省察してくれるほどの親切は、今の忙しい文壇に少なそうだから。

或る作品を批評する場合に、「これはヒューメーンな作」だということがよく云われる。

ヒューメーンという言葉は、広く之を「人間的」という風に解する時には、もはや一つのものを指すのではなくて、人間の有する種々な性質を指すことになるべきである。気弱さから気強さに至るまで、邪悪から善良に至るまで、微賤から崇高に至るまで、感傷から剛健に至るまで、其他多くのものを含むことになるべきである。なぜなら、人間を気弱な邪悪な微賤な感傷的な……ものと見るのは、囚われた見方であって、人間のうちには気強いものや崇高なものや剛健なもの……も同程度に於て存在しているから。そしてまた、右のものはそれぞれ深浅の度に於て多くの程度がある。即ち人間的という言葉は、或る程度の上下左右の拡がりを有する全範囲を指すことになる。そしてこの範囲外に属するものが即ち怪物的となる。怪物的なものは、上に在っては神的と称することが出来、下に在っては悪魔的と称することが出来る。かかる人間的と怪物的との境界を定むるものは、ノルマルな状態に在るノルマルな人の心である。