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フランスはくN・B
フランス伯N・B
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《フランス伯N・B(フランスはくN・B)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,740 字 · 31 頁
われわれもかねていろいろ想像をめぐらしていた。それにしてもこれは火事がなかったら、永久に保たれるはずの秘密だったにちがいない。われわれは生涯このことを口外しまいと厳粛に誓いあった。
ロング・ウッドに火事が二度あった。最初は一八一六年七月十九日。二度目は一八一九年七月二十二日。先のほうはド・ラッス・カーズ伯の「セント・ヘレナ日記」に、後のほうはマルシャンの「備忘録」に記載されている。
庖厨場の前の小部屋は、追放されるまでド・ラッス・カーズ伯の専用になっていて、息子のエンマヌエルがその下の穀置場で寝起きしていた。
それはともかく、マサニエル号の船長が、薄暗い穀置場で見た「ナポレオン」というのは誰だったのか。
マルシャンの「備忘録」の一八一九年に、次のような記事がある。
七月二十二日 レチチア夫人が差し遣わされた医師アントン・マルシィ氏、外に、皇帝の同郷人三名、
マリオ・ジェンツイオ
エミリオ・モンティ
シェザレ・ロッセルリ
病気見舞としコルシカより来島。
同 二十七日 同郷人三名、離島。
火事があったのは、七月二十二日、つまりコルシカから三人の同郷人が到着した翌々日だから、「穀置場のナポレオン」