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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
線上閱讀北原 白秋《フレップ・トリップ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 頁
」
「それでむしょうにうれしがっていたぜ、君。そして君のことをまるでやんちゃの赤ん坊だ、あれでなくちゃ詩も歌もできまいと。」
「君の稲葉小僧の新助もだろう。」
アッハッハッと、政友本党では幅利きの吉植庄一郎氏の令息で、法学士で、政治ぎらいの、印旛沼は出津の開墾家の、お人よしの、どこか抜けている坊さん風の、歌人の、わが友庄亮が頭を叩いて、「閉口閉口。」と元から細い眼尻を一倍細くして、赤い顔をした。
何でも、今度の観光団は面白そうだとなった。一同で選挙した団長が日露役の志士沖禎介の親父さんで、一等船客の中には京大教授の博士もいれば、木下杢太郎の岳父さんもいる。中学校長もいれば有名な富豪もいる。銀行の頭取、牧畜家、材木業者。それに二、三等にも山持ち、汽船持ち、芸術写真のKさん、小学校長、学生、西洋画家、宿屋の主人、等の種々雑多の階級の人たちが全国から三百幾人と集まったのだ。それが、まだしっくりとはとてもうちとけないで、何かしら気づまりで固く鯱こばっていたのが、昨夜の童謡音楽会でさらりと流れ、ふわりと和らいでしまった。
「とにかく、あれでよかったんだ。」
そうだと私も思った。