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マクシム・ゴーリキイのはってんのとくしつ
マクシム・ゴーリキイの発展の特質
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《マクシム・ゴーリキイの発展の特質(マクシム・ゴーリキイのはってんのとくしつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,694 字 · 33 頁
私はそれを書いているのであった。書きあげて、子供より下手だと笑いながら見せた。するとゴーリキイは真面目な、親密な調子で、「なに、結構読める」と、別に笑いもせず答えた。その云い方と声とが今も心に残っている。
あのゴーリキイがもういず、彼の残した沢山の蔵書に交って何処かに、私のあの本もあるのかと思うと、何か一口に云い現せない心持が私をみたす。何故なら私の記憶の前には、中川一政氏によって装幀された厚い一冊の本と、ゴーリキイの如何にも彼らしい「なに、結構読める」と云った声とがまざまざと結びついて生きていて、その思い出はゴーリキイという一人の大きい作家の生涯の過程を私に会得させるために、驚くほど微妙な作用を残しているのである。
ソヴェト同盟の文学史において、マクシム・ゴーリキイは、たとえて見れば最後の行までぴっちりと書きつめられ、ピリオドのうたれている大きい本の一頁のような存在である。私たちは、自分たちの頁の数行をやっと書いたに過ぎない。ゴーリキイの生き方、作家的経験から若い時代の汲みとるべき教訓は実に多いと思われる。今日までに刊行されているゴーリキイの作品の全集や、最近の文化・文学運動に対する感想集等の外に、今後はおそらく周密に集められた書簡集、日記等も発表され、ますます多くの人にゴーリキイ研究の材料と興味とを