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ヤミろんご

ヤミ論語

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《ヤミ論語(ヤミろんご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,308 字 · 36 頁

青空文庫

切手をつくろうと逓信省が案をねっているそうだ。

このキッカケとなったのは、七月卅日の幸田露伴の一周忌を記念して、この文豪の肖像を切手にしては、と日本出版協会から申入れがあったせいの由である。

以上は新聞の雑報であるから、真偽のほどは確かでないが、日本出版協会とか何とか文化団体とかのやりかねないことだ。

いったい、幸田露伴とは、国民的文豪なりや。いったい、露伴の何という小説が日本人の歴史の中に血液の中に、生きているのか。

少数の人々が「五重塔」ぐらいを読んでるかも知れないが、「五重塔」が歴史的な傑作の名に価いするか、ともかく、一般大衆の民族的な血液に露伴の文学が愛読されているとは思われず、むしろ一葉の「たけくらべ」が、はるかに国民に親しまれているであろう。

一般大衆の流行の如き、とるに足らぬ、と仰有るならば、笑うべき暴論と申さねばならぬ。死んで、歴史に残る、という。文学が歴史に残るとはいつの世にも愛読されるということで、これにまさる文学批評はないのである。一部に専門的に、どれだけヒネクッた批評があるにしても、いつの世にも愛読されるということより大いなる、又、真実の批評がある筈はない。