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ウィタ・セクスアリス
ヰタ・セクスアリス
線上閱讀森 鴎外《ヰタ・セクスアリス(ウィタ・セクスアリス)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 58,941 字 · 119 頁
僕は家従等に比べると、この男が余程賢いと思っていた。
或る日銀林は銀座の方へ往くから、連れて行って遣ろうと云った。その日には用を済ませてから、銀林が京橋の側の寄席に這入った。
昼席であるから、余り客が多くはない。上品に見えるのは娘を連れた町家のお上さんなどで、その外多くは職人のような男であった。
高座には話家が出て饒舌っている。徳三郎という息子が象棋をさしに出ていた。夜が更けて帰って、閉出を食った。近所の娘が一人やはり同じように閉出を食っている。娘は息子に話し掛ける。息子がおじの内へ往って留めて貰うより外はないと云うと、娘が一しょに連れて行ってくれろと頼む。息子は聴かずにずんずん行くが、娘は附いて来る。おじは通物である。通物とは道義心の lax なる人物ということと見える。息子が情人を連れて来たものと速断する。息子が弁解するのを、恥かしいので言を左右に托しているのだと思う。息子に恋慕している娘は、物怪の幸と思っている。そこで二人はおじに二階へ追い上げられる。夜具は一人前しか無い。解いた帯を、縦に敷布団の真中に置いて、跡から書くので譬喩が anachronism になるが、樺太を両分したようにして、二人は寝る。