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せんきゅうひゃくさんじゅうしちねんをおくるにほん
一九三七年を送る日本
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《一九三七年を送る日本(せんきゅうひゃくさんじゅうしちねんをおくるにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,500 字 · 23 頁
だが国民には国民の文学が必要だということは、同語反覆的に疑うべからざることだから、国民文学という言葉は方々で重宝がられているのが事実であるが。――戦争文学ということも話題に上らないではない、之も亦日本文化や国民文学の一変形とならぬとも限らぬが、今の処取るに足りない。
之に反して、一般に文化問題又特には日本文化の問題を、最も合理的な形で検討するという期待は、科学的精神の論議の高潮の内に見られる。昨三六年頃から科学的精神は次第に時局的な問題とされ始めたが、今年に這入っても著しくその文化時局的意義を深めた。今年の初めにかけて、文学主義と科学主義との対立というようなことが一時問題になったが、元来科学主義などという言葉は、今日何の役にも立たぬ当てずっぽうの言葉で、科学的精神を歪めて云い表わしたものにしか過ぎなかったろう(最近大河内正敏氏の理研コンツェルンの産業哲学として科学主義工業という言葉が注目されているが)。科学的精神は単に科学研究の精神と云うには止まらず、まして又自然科学の研究の精神などに制限されるものではない。社会科学や歴史科学にこそ、又文芸其の他にこそ、つまり一切の文化そのものにとってこそ、必要な精神が之だというのである。