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せんきゅうひゃくよんじゅうろくねんのぶんだん

一九四六年の文壇

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《一九四六年の文壇(せんきゅうひゃくよんじゅうろくねんのぶんだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,325 字 · 54 頁

青空文庫

日本の精神は市民社会を知らず、自分一個の存在の社会的脊骨を自身のうちに実感するところまで成熟していません。少年が最初の自我を自分の肉体の上に発見するように、未熟な近代日本の精神が今日においてさえ一番よくわかる人間性として自分たちの肉体の性的行為で集約・表現しようとしているのは深く考えさせられるところです。

昨今注目されているデカダンス、エロティシズムの傾向も、その作家たちの主張するところによれば、いずれも封建的な日本の偽善と形式的独善の風習への反抗であり、ある主張によれば軽薄にいわれている日本の民主的解放という流行語にたいする辛辣な反措定としての人間性の露出と主張されています。坂口安吾の「デカダンス論」はこの点を力説しています。しかし、発展的に推進する人間性そのものの自然な姿、その精神と肉体との過程としての人生とその芸術を考えたとき、たとえ、私たちの闘うべき封建性にたいしてであったとしても、単に反措定的存在に止るということは、それ自体一つの闘われるべき安易さへの停滞ではないでしょうか。横光利一・小林秀雄というような人々の悲惨は、いかに文飾したとしても、自身を、日本の民主的文学の伝統に固定的に対置させた反措定としての存在以上に発展せしめる人間的能力をもっていないという点です。