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いっすんぼうし

一寸法師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《一寸法師(いっすんぼうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 頁

青空文庫

門の外は、両側とも長い塀が続いて、所々に安全燈が鈍い光を放っているのが、一層暗さを引立てている様に見えた。人通りなどはまるでなかった。

彼女は暗黒の往来に立止って、暫く何か考えていたが、やがてトボトボと歩き出した。だが、妙なことにはそれはタクシーの帳場とは反対の、一層さびしい方角を指していた。第一の曲り角へ来た時、彼女は一応うしろを振返って、だれも見る人のないことを確めると、それから少し急ぎ足になって、暗い道暗い道と選って歩いて行った。

二三町も行くと、道は隅田川のさびしい堤に出た。対岸の家々の燈火が、丁度芝居の書割りの様に眺められた。真暗な広い河面には、荷足船の薄赤い提灯が、二三つ、動くともなく動いていた。

堤に出て、少し行って、だらだら坂を下ると、三囲神社の境内だった。山野夫人は坂の降り口の所で、又注意深く左右を見廻してから、神社の中へ入って行った。

だが、夫人がそれ程用心深くしていたにも拘らず、彼女は一人の尾行者を悟ることが出来なかった。彼女が邸の門を出るとから、小間使のお雪が、彼女以上の用心深さで、彼女の跡をつけていた。

三囲神社の境内は、墓場の様に静だった。