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さんにんのそうまだいさく

三人の相馬大作

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《三人の相馬大作(さんにんのそうまだいさく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,603 字 · 66 頁

青空文庫

右源太は、脣にも頬にも笑を浮べていた。

三十三

(世の中って、運一つのものだ。兄貴の運などは、生れた時から曲っていて、とうとう死んじまったが、俺の運は、兄貴の死んだ時から開けてきたんだ。これで、贋首が判ったって、天下泰平。運勢の御守札は、こちらから出まーあすってんだ)

右源太は、止めようとしても、出てくる笑を頬に、脣に出しながら

(これで、あの女も、自分のものになる。いずれ御褒美があろうし――お袋に、見せてやりてえや」

右源太は、賑やかな、両国河岸を、水茶屋の前へきた。往来の人々が、皆自分の方を見て

(あれが、相馬大作を召捕ったお役人だぜ)

と、囁いたり、噂したりしているように思えた。そして、全く、水茶屋の行燈の灯に照らし出された時、水茶屋の女達は

「あら、女狩様」

と、叫んで、客の無い者は、走り出してくるし、客のある女は、一斉にこちらを向いた。右源太は大きい女の定紋を書いた衝立の蔭へ坐って

「暫く」

お歌が、外の客に、愛想の言葉を投げかけておいて

「ほんに、お久し振り」

と、いって、側へ腰かけて、香油の匂を漂わして

「妾まで嬉しゅうて――何んしろ、大したお手柄で御座んして」