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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

線上閱讀海野 十三《三十年後の世界(さんじゅうねんごのせかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 頁

青空文庫

「そうです。だから、火星は、地球人とちがって、電波を利用することがあまり上手でないかもしれませんね」

正吉とスミレ女史がこうして話をしていたとき、ガーンとだしぬけに大きな音がした。それと同時に、ロケット艇はばらばらになるのではないかと思うほど、ひどく震動し、そして正吉もスミレ女史も床の上にたたきつけられた。室内の器具で、ひっくりかえったものは数をしらず、機械の間から花火は出、警報ベルは鳴りだすというえらいさわぎであった。そして停電になった。

「あ、痛い」

「な、なんでしょう」

電気が来た。それと同時に高声器が大きく鳴りだした。

「火災が起った。中部倉庫だ。必要配置員を残して、全員は中部消火区へ集まれ」

さあ、たいへんだ。

宇宙をとんでいる間に火災を起したくらい不安な出来ごとはない。なぜそんな火災を出したのか。

正吉は、どこの部屋の必要配置員でもなかったから、すぐに中部消火区へかけつけなくてはならなかった。でも、あまり不安が大きかったので、かけだす前にスミレ女史にたずねた。

「どうして火事なんか、ひき起したのでしょうか」

「それはきっと、大きな宇宙塵が本艇の中部倉庫の付近へ衝突して、中部倉庫にしまってあった燃料が発火したのでしょう」