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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

線上閱讀海野 十三《三十年後の世界(さんじゅうねんごのせかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 頁

青空文庫

そしてその鉄板は、横へ長いものが重なり合っていると見え、甲虫のからだのようであった。

その頭部は、しいの実のように、大部分は円筒形であるが、上は、しいの実のようにとがっていた。そしてまん中あたりに、目の穴ではないかと思われるものが二つあった。

それが目だとすると、狐の目のようにつりあがっているといわなくてはならない。

そういう異様ないでたちの一団が、みんなでかれこれ四、五十名も、峰々から下をうかがっているのであった。太陽の光が、彼らの頭やからだの側面を、くっきりと照らし出していた。

とつぜんあたりが暗くなった。

太陽が没したのである。そして夜が来たのだ。

月世界においては、空気がないために、地球上の日暮のように、じわじわ暗くなるようなことはなく、いきなり暗くなる。たそがれのうす明りなどというものはなく、いきなり闇がおとずれるのだ。

日の暮れるのを、異様な一団は待っていたようである。暮れると同時に、異人の中から一人が立ち上った。と、彼のからだがほたるいかのように光った。全身に、光の点々があちらこちらにあらわれ、それが明滅する。

と、そのそばにいた他の異人が、またすっと立ち上って、全身をほたるいかのように光らせる。