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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《三四郎(さんしろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 頁

青空文庫

与次郎の言葉はけっして冷評ではなかった。三四郎は黙って本箱をながめていた。すると座敷から美禰子の声が聞こえた。

「ごちそうをあげるからお二人ともいらっしゃい」

二人が書斎から廊下伝いに、座敷へ来てみると、座敷のまん中に美禰子の持って来た籃が据えてある。蓋が取ってある。中にサンドイッチがたくさんはいっている。美禰子はそのそばにすわって、籃の中のものを小皿へ取り分けている。与次郎と美禰子の問答が始まった。

「よく忘れずに持ってきましたね」

「だって、わざわざ御注文ですもの」

「その籃も買ってきたんですか」

「いいえ」

「家にあったんですか」

「ええ」

「たいへん大きなものですね。車夫でも連れてきたんですか。ついでに、少しのあいだ置いて働かせればいいのに」

「車夫はきょうは使いに出ました。女だってこのくらいなものは持てますわ」

「あなただから持つんです。ほかのお嬢さんなら、まあやめますね」

「そうでしょうか。それなら私もやめればよかった」

美禰子は食い物を小皿へ取りながら、与次郎と応対している。言葉に少しもよどみがない。しかもゆっくりおちついている。ほとんど与次郎の顔を見ないくらいである。