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さんしろう
三四郎
線上閱讀夏目 漱石《三四郎(さんしろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 頁
とすこぶる曖昧な返事をして、また肩を並べて歩きだした。正門をはいると、急に目の前が広くなる。大きな建物が所々に黒く立っている。その屋根がはっきり尽きる所から明らかな空になる。星がおびただしく多い。
「美しい空だ」と三四郎が言った。与次郎も空を見ながら、一間ばかり歩いた。突然、
「おい、君」と三四郎を呼んだ。三四郎はまたさっきの話の続きかと思って「なんだ」と答えた。
「君、こういう空を見てどんな感じを起こす」
与次郎に似合わぬことを言った。無限とか永久とかいう持ち合わせの答はいくらでもあるが、そんなことを言うと与次郎に笑われると思って三四郎は黙っていた。
「つまらんなあ我々は。あしたから、こんな運動をするのはもうやめにしようかしら。偉大なる暗闇を書いてもなんの役にも立ちそうにもない」
「なぜ急にそんな事を言いだしたのか」
「この空を見ると、そういう考えになる。――君、女にほれたことがあるか」
三四郎は即答ができなかった。
「女は恐ろしいものだよ」と与次郎が言った。
「恐ろしいものだ、ぼくも知っている」と三四郎も言った。すると与次郎が大きな声で笑いだした。静かな夜の中でたいへん高く聞こえる。