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あるくこと
三好十郎の仕事 第三巻
三好 十郎
線上閱讀三好 十郎《三好十郎の仕事 第三巻(あるくこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 334,472 字 · 667 頁
その左手のシワの中に、かたまりかけた血液が、赤黒くスジになって光る。それを見つめている治子の、石化した顔。……北村とシルエットの静代とが、二人を見まもっている)……フ! (明の、つとめて笑おうとしてゆがんだ顔が、ベソに近くなってくる。暗くなる)
4
ガランとした柔剣道道場。
半分は板じきで、半分はタタミじき。正面に体操用の肋木台。その肋木に両腕をしばりつけられて、土気色の顔の、眼をつぶり、青バナを垂らし、ヒクヒクとあえいでいる片倉友吉。左腕は上膊から肱の下までホウタイが巻き立てたのが、折れて不自然なかっこうに垂れている。
その足もとから五、六歩はなれたユカの上に、右手に竹刀を握りしめたまま、うつぶせにたおれている父の義一。黒背広を着た中年の今井が、かがみこんで老人の背に手をかけて、のぞきこんでいる。人見勉がタタミの部〔分〕にキチンと坐り、すくみあがっている。
今井 ……だから、いわない事じゃないんだ。これくらいな事で、転向するような大将なら、ぼくらも苦労しやしないさ。……(ノロノロと、人見に話しかけるような、話しかけないような調子でいうが、人見が口をパクパクするだけで答えないので、又つづける)憲兵隊でも、そうとうな目に逢ったようだし、ここへ来てからも、まあなんだね、以前の左翼の連中なんかより