輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
さんねんめ
三年目
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《三年目(さんねんめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,214 字 · 22 頁
「蓬莱橋が渡れたってさ、おまえさん、早くその荷物を持って出ておいでよ」
そういう声に入り交って、ざぶざぶと水の中を歩く音が聞えた。どうやら膝あたりまで浸かってきたらしい。鋭い赤子の泣声が起り、どこかで犬が悲しげに吠えた。
友吉は台所へ行ってみた、酔いが醒めそうで、なんとも云いようのない、酸っぱい悲しさと、怒りと、口惜しさが胸を緊めつける、……隅のほうに一升徳利があるのをみつけた、振ってみると半分がた残っていた。それを提げて六畳へ戻ると、いきなり徳利へ口を付けて呷った。
「角さん、角さん」
二三軒先から誰かが呼んだ。
「いねえのかい角さん。おかみさん、……もう駄目だぜ、いまのうちに逃げねえと手後れになるぜ。……おかしいな、いねえのかな」
「角さん、お菊さんたら」
女の声も聞えた。
友吉はひょいと冷笑した、それからまた酒を呷りつけた。味もなにも分らない、ただ喉をごくごくと冷たく落ちてゆくのが快かった。……路地内の騒ぎはいつか遠のいていた、ただどこかで人の呼び交わす切迫した声だけが、刻々に近づきつつある大きな危険を感じさせた。
徳利がほとんど空になりかかったとき、友吉はひょいと聞耳を立てた。