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さんあくにんものがたり

三悪人物語

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《三悪人物語(さんあくにんものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,990 字 · 58 頁

青空文庫

れた肚いせに役人達の収賄と涜職を告訴したので、こんどは役人達がお互いを縛りだした。矢土真平は皆疋太九郎を縛って池名勘兵衛に縛られ、小松太造は池名勘兵衛を縛ったうえ自分が縛られた。おまけに大阪の富商の手代が蓑賀参蔵を詐欺犯人であると証言するや、ごうごうがくがくと蓑賀殿の悪事醜行が並べられ、ついにこの筆頭与力殿も縛られなされた。――あらゆる物語の定例によって、汚吏穢商の類はかくのごとく検挙され、善良無辜の市民には平和が回復した。

だが待ちたまえ、あれへ来六屋が逃げてまいる、この痴者はどさくさまぎれに法廷をぬけ出し、雲を霞と逃亡でござる、それ走れ、もうひと息、――彼は濠を渡り申した。そして足も宙に河内街道を走っていったが、島多村の辻へ来たとき、向こうから走って来た三人づれの男と、出合いがしらに衝突し、眼から火をとばしてすっ転んだ。いや珍しい、三人づれは杢に中将に権頭でござる、彼らもまた役割の恐ろしさにおじけづき、かくは脱出ずらかって来たのだ。「早く早く」権頭はころんだ杢を引き起こした、「追手が掛かったらおしまいだ、あんなに洗いざらい、誰も彼も悪事がばらされる、さあかけろ、日本の果てまで逃亡だ」