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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁
殊に舞台へ飛びあがって太平次にくらい付くなどというのは、例の肥後の侍の一件をあて付けたもので、藤崎さんを武家とみての悪口でしょう。それを聞いて、藤崎さんもむっとしました。
いくら相手が町人や職人でも、一桝のうちで六人がみな敵では藤崎さんも困ります。町人たちの方では味方が殖えたので、いよ/\威勢がよくなりました。
「まったくでございますね。」と、亭主の男もせゝら笑いました。「なにしろ芝居とお能とは違いますからね。一年に一度ぐらい御覧になったんじゃあ、ほんとうの芸は判りませんよ。」
「判らなければ判らないで、おとなしく見物していらっしゃれば好いんだけれど……。」と、若いおかみさんも厭に笑いました。「これでもわたし達は肩揚のおりないうちから、替り目ごとに欠さずに見物しているんですからね。」
かわる/″\に藤崎さんを嘲弄するようなことを云って、しまいには何がなしに声をあげてどっと笑いました。藤崎さんはいよ/\癪に障った。もうこの上はこんな奴等と問答無益、片っ端から花道へひきずり出して、柔術の腕前をみせてやろうかとも思ったのですが、どうしても、そんなことは出来ない。