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みうらろうじんむかしばなし

三浦老人昔話

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁

青空文庫

お仙もあやうく放逐されそうになったが、これはお嬢さまのお声がかりで僅かに助かりました。

貸本屋の出入りが止まるとなると、お近さんの写本がいよ/\大切なものになって、お近さんは内証でそれを読んで聞かせて皆んなを楽しませていました。――野にすてた笠に用あり水仙花、それならなくに水仙の、霜除けほどなる佗住居――こんな文句は皆んなも暗記してしまうほどになりました。そうしているうちに、こんなことが自然に上屋敷の方へ洩れたのか、或は侍たちも持て余して密告したのか、いずれにしてもお嬢様を下屋敷に置くのは宜しくないというので、病気全快を口実に本郷の方へ引き戻されることになりました。それは翌年の二月のことで、丁度出代り時であるのでお近さんともう一人、お冬とかいう女中がお暇になりました。下屋敷の方ではお仙がとう/\放逐されてしまいました。

普通の女中とは違って、お近さんはお嬢さまのお嫁入りまでは御奉公する筈で、場合によってはそのお嫁入り先までお供するかも知れないくらいであったのに、それが突然にお暇になった。表向きはお人減しというのであるが、どうも彼の貸本屋一件が祟りをなして、お近さんともう一人の女中がその主謀者と認められたらしいのです。