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みうらろうじんむかしばなし

三浦老人昔話

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁

青空文庫

主人に対して新年の挨拶がすむと、半七老人は更にその客の老人をわたしに紹介した。

「こちらは大久保にお住居の三浦さんとおっしゃるので……。」

初対面の挨拶が型の通りに交換された後に、わたしも主人から屠蘇をすゝめられた。ふたりの老人と一人の青年とがすぐに打解けて話しはじめると、半七老人は更に説明を加えて再び彼の客を紹介した。

「三浦さんも江戸時代には下谷に住まっていて、わたしとは古いお馴染ですよ。いえ、同商売じゃありませんが、まんざら縁のない方でもないので……。番所の腰掛では一緒になったこともあるんですよ。はゝゝゝゝ。」

三浦という老人は家主で、その時代の詞でいう大屋さんであった。江戸時代にはなにかの裁判沙汰があれば、かならずその町内の家主が関係することになっているので、岡っ引を勤めていた半七老人とはまったく縁のない商売ではなかった。ことに神田と下谷とは土地つゞきでもあるので、半七老人は特にこの三浦老人と親しくしていたらしかった。そうして、維新以後の今日まで交際をつゞけているのであった。

「むかしは随分おたがいに仲好くしていたんですがね。」と、三浦老人は笑いながら云った。