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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁
今宮さんは残念ながら這奴を追いかえすより外はありませんでした。
「貴様のような奴等にかゝり合っていては、大切の道中が遅くなる。きょうのところは格別を以てゆるして遣る。早く行け、行け」
もうこっちの内兜を見透しているので、平作は素直に立去らない。かれは勇作にむかって大きい手を出しました。
「もし、御家来さん。酒手をいたゞきます。」
「馬鹿をいえ。」と、勇作はまた叱り付けました。「貴様のような奴に鐚一文でも余分なものが遣られると思うか。首の飛ばないのを有難いことにして、早く立去れ。」
「さあ、行け、行け。」
中間どもは再び平作の腕をつかんで突き出すと、さっきからはら/\しながら見ていた駕籠屋や人足共も一緒になって、色々になだめて連れて行こうとする。なにしろ多勢に無勢で、所詮腕ずくでは敵わないと思って、平作は引き摺られながら大きい声で怒鳴りました。
「なに、首の飛ばないのを有難く思え……。はゝ、笑わせやあがる。おれの首が飛んだら、その具足櫃からしたじのような紅い水が流れ出すだろう。」
見物人が大勢あつまっているだけに、今宮さんも捨てゝ置かれません。この上にも何を云い出すか判らないと思うと、もう堪忍も容赦もない。