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みうらろうじんむかしばなし

三浦老人昔話

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁

青空文庫

三島の宿の問屋場ではこの鎧櫃をとゞけられて驚きました。それには今宮さんの手紙が添えてありました。

先刻は御手数相掛過分に存候。拙者鎧櫃の血汐、いつまでも溢れ出して道中迷惑に御座候間、一応おあらための上、よろしく御取捨被下度、右重々御手数ながら御願申上候。早々

今宮六之助

問屋場御中

問屋場では鎧櫃を洗いきよめて、使のふたりに戻しました。これで鎧櫃からこぼれ出した紅い雫も、ほんとうの血であったと云うことになります。沼津の宿の方の届も型ばかりで済みました。一方は侍、一方は雲助、しかも御用道中の旅先というのですから、可哀そうに平作は殺され損、この時代のことですから何うにも仕様がありません。

今宮さんはその後の道中に変ったこともなく、主従五人が仲よく上って行ったのですが、彼の一件以来、どうも気が暴くなったようで、左もないことにも顔色を変えて小言を云うこともある。しかしそれは一時のことで、あとは矢張り元の通りになるので、家来共も別に気にも留めずにいると、京ももう眼の前という草津の宿に這入る途中、二三日前からの雨つゞきで路がひどく悪いので、今宮さんの一行はみな駕籠に乗ることになりました。