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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁
勇作等も大抵は察していましたが、表向きは彼のゆすりの一件から物堅い主人の怒に触れたのだと云うことにして、これも先ず無事に片附きました。
それから大阪へゆき着いて、今宮さんは城内の小屋に住んで、とゞこおりなく勤めていました。かの鎧櫃は雲助の死骸を入れて以来、空のまゝで担がせて来て、空のままで床の間に飾って置いたのでした。なんでも九月のはじめだそうで、今宮さんは夕方に詰所から退って来て、自分の小屋で夕飯を食いました。たんとも飲まないのですが、晩酌には一本つけるのが例になっているので、今夜も機嫌よく飲んでしまって、飯を食いはじめる。勇作が給仕をする。黄い行燈が秋の灯らしい色をみせて、床の下ではこおろぎが鳴く。今宮さんは飯をくいながら、今日は詰所でこんな話を聴いたと話しました。
「この城内には入らずの間というのがある。そこには淀殿が坐っているそうだ。」
「わたくしもそんな話を聴きましたが、ほんとうでござりましょうか。」と、勇作は首をかしげていました。
「ほんとうだそうだ。なんでも淀殿がむかしの通りの姿で坐っている。それを見た者は屹と命を取られると云うことだ。」