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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁
二度も三度も訊きかえし、云い返して、両方がじれ込んで来たので、組頭は自分の耳を扇で指して、おれは耳が遠いから傍へ来て大きい声で云えと指図したので、若い与力はすゝみ出てまた云いました。
「手前は貝をつかまつる。」
「なに。」と組頭は首をかしげた。
まだ判らないらしいので、与力は顔を突き出して怒鳴りました。
「手前は法螺をふく。」
「馬鹿。」
与力はいきなりにその横鬢を扇でぴしゃりと撲たれました。撲たれた方はびっくりしていると、撲った方は苦り切って叱りつけました。
「たわけた奴だ。帰れ、帰れ。」
相手が上役だから何うすることも出来ない。ぶたれた上に叱られて、若い与力は烟にまかれて早々に帰りました。すると、その晩になって、組がしらから使が来て、なにがしにもう一度逢いたいから来てくれと云うのです。今度行ったらどんな目に逢うかと思ったのですが、上役からわざ/\の使ですから断るわけにも行かないので、内心びく/\もので出かけて行くと、昼間とは大違いで、組頭はにこ/\しながら出て来ました。
「いや、先刻は気の毒。どうも年をとると一徹になってな。はゝゝゝゝ。」
だん/\聴いてみると、この組がしらの老人、ほらを吹くと云ったのを、俗に所謂ほらを吹くの意味に解釈して、大風呂敷をひろげると云うことゝ一図に思い込んでしまったのでした。