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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,637 字 · 224 頁
なにしろ、芝居なぞというものは町人や職人が見るもので、所謂知識階級の人たちは立ち寄らないことになっていたのですから、今日とは万事が違います。
それでは学者や侍は芝居を一切見物しないかと云うと、そうではない。芝居の好きな人は矢はり覗きに行くのですが、まったく文字通りに「覗き」に行くので、大手をふって乗り込むわけには行きません。勿論、武家法度のうちにも武士は歌舞伎を見るべからずという個条はないようですが、それでも自然にそういう習慣が出来てしまって、武士は先ずそういう場所へ立寄らないことになっている。一時はその習慣もよほど廃れかゝっていたのですが、御承知の通り、安政四年四月十四日、三丁目の森田座で天竺徳兵衛の狂言を演じている最中に、桟敷に見物していた肥後の侍が、たとい狂言とはいえ、子として親の首を打つということがあろうかというので、俄に逆上して桟敷を飛び降り、舞台にいる天竺徳兵衛の市蔵に斬ってかゝったという大騒ぎ。その以来、侍の芝居見物ということが又やかましくなりまして、それまでは大小をさしたまゝで芝居小屋へ這入ることも出来たのですが、以来は大小をさして木戸をくゞること堅く無用、腰の物はかならず芝居茶屋にあずけて行くことに触れ渡されてしまいました。