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しゃんはい

上海

横光 利一

線上閱讀横光 利一《上海(しゃんはい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,628 字 · 292 頁

青空文庫

」

山口は後から来る高重にかまわず、急いで三、四歩通りの方へ歩いていった。しかし、勿論、今頃からお杉の行先なんか探したって分ろうはずもないのに気がつくと、またくるりと廻って静江の傍へ引き返した。

「お杉の行先が知れたら、すぐ知らせてくれないか。分ったかい。」

彼は暗闇の方へ向き返って、五ドル紙幣を静江に握らせて、また高重の後を追って来た。

「どうも今夜は、金の要ることばかりだよ。」

「何んだ。お杉って?」

「いや、これがなかなか可憐な代物さ、甲谷が秋蘭を追っかけていきよったから、そんならこっちを一つと思ったら、風呂屋のお神が首を切って抛り出したとこだというのさ。ひでえ野郎だ。」

高重は山口がお杉の家出で周章て出したのを見ると、お杉とはどんな女だったのかと考えた。前に高重は妹の競子が娘の頃、彼女を山口にならやっても良いと思ったこともあったのだ。その頃は、山口も競子が好きで、彼女を包む沢山の男たち同様に、競子の後を暇さえあれば追いかけたのである。山口は大通へ出ると、霧の深まって来始めた左右の街を見廻しながらいった。

「これからサラセンへいっても良いが、まさか甲谷は、今頃まで俺を待ってる気遣いもなかろうね。