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ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

線上閱讀小林 多喜二《不在地主(ふざいじぬし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 69,990 字 · 141 頁

青空文庫

勝手にしろ!――裁判所の真ん中で、岸野がいきなり俺達を怒鳴りつけたんだ。

やってみろ! 足腰たたない位たたきのめしてやるから!――これが、いくら地主であろうと、小作人に云う言葉か――俺はこの四十三の大人になって、面と向ってこんな事を云われたのは初めてだ。

三日のうち五度会った。そして五度怒鳴り散らされた。――俺達は怒鳴られるために旭川まで出掛けて行ったんじゃない、調停して貰うためにだ。

ところが、「調停委員」は一体どんなことをしたと思う。――まア、まア岸野さん! それ位だ。こんなものが調停なら、誰にでも出来る。

後で、「農民組合」の弁護士が云っていた。

「調停裁判」なんて名前はええが、こんなものは、これから益※(二の字点、1-2-22)起るおそれのある小作争議をば体よく抑えて、大きくしないうちに揉み消しにして――結局地主ば安全にさせて置こうとするための法律だ。ところが、一寸見がいいために、何も知らない百姓はその人の好さから、あーあ有難いものが出来たと大喜びなんだ。そこが又うまくしてあるところだって。

んだんだ。今度でそれがよッく分った。――今年は全道みんな不作だ。