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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《不連続殺人事件(ふれんぞくさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 頁

青空文庫

「つがれておりました。お砂糖もミルクも、調理場で入れて、ここへ運んで、並べているところでした」

カングリ警部は食堂からピカ一と加代子さんの茶碗をとりよせて、ゆっくり眺め廻していた。ピカ一の茶碗のフチは一ヶ所はやや大きく、一ヶ所は小さくかけていたが、加代子さんの茶碗は二ヶ所に大きく、二ヶ所に小さくかけていた。

カングリ警部は顔をあげて、女中の八重を見た。

「どっちの茶碗が土居さんの専用だね」

「ハイ、そっちです」

と、まちがいなく、かけ目の少い方を指して答えた。

「ほかにカケ目のない茶碗はないのかね」

「ハイ、ございません。戦争中からいくつとなく割りましたまま、新しく買ったことがございませんので」

警部はうなずいて、

「近ごろは安物ばかりで、おまけに目の玉のとびでる値段だからね」

それから、私と一馬に向って、

「あなた方も、そこのテーブルの上のコーヒー茶碗を見ましたか」

私たちも、うなずいた。

「そのほかに二三人、お立ちになった方があるそうですが、どなたでしたか」

「私が立ちましたよ」

と神山東洋が答えた。つづいて木ベエが、僕も、と答えた。

「あなた方もテーブルの上のコーヒー茶碗を見ましたか」