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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
線上閱讀坂口 安吾《不連続殺人事件(ふれんぞくさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 頁
主人はやさしく私を抱きよせるようにして、僕は死ぬ、一しょに死んでおくれ、もう僕はダメなんだから、と申しました」
カングリ警部はうなずいて、その先をうながした。
「私は呆れて、何がダメ、とたずねました。答えの代りに、ウウという、唸り声がもれました。にわかに劇しい力で抱きすくめられたと思うと、クビをつきあげてきたのです。夢中に手向いました。そして、ころげ落ちて、そのあとは、覚えがないのです」
カングリ警部はうなずいた。
「もっとよく考えてみて下さい。御主人は、ほかに何か仰有いませんでしたか」
あやか夫人は考えていたが、首を横にふった。
「なるほど。死んでくれ、もう僕はダメなんだから。なるほど。警察の手が廻ったから、もうダメ、そういう風に申されたのですね」
「いいえ、ちがいます」
あやか夫人はキッパリと云った。
「そんな風には申しません。もうダメなんだから、と申しただけです。主人は昨夜、寝室へ来てから、無慙なほど、やつれはてておりましたのです。苛々と、寸時も居たたまらぬていで、脅えきっている様子でした。それはあの玄関の柱に脅迫のハリ紙を見たためで、私はその理由をよく存じておりましたのです。