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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
線上閱讀坂口 安吾《不連続殺人事件(ふれんぞくさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 頁
そして二つの説得力が妙な平衡状態を保っている、つまりそのどちらにも、最後の説得力が欠けているのだ。そして巨勢博士に欠けている最後のものは、言うまでもなく、ぬきさしならぬ物的証拠に外ならない。
然し巨勢博士は、そのような説得力の平衡状態が一向に苦にもならないらしく、再び淡々と語りつづけた。
「さて、最後の仕上げの犯行にうつりますが、もしも海老塚医師と諸井看護婦があのようなことにならなければ、この二人こそ犯人御両名の最も利用すべき人物であったでしょう。海老塚、諸井の両氏は周到なる犯人すらも予期せざる人物でありました。それは是非もありません。当家の主人たる一馬先生すら、父多門氏が惨死せられて、片倉老人の打ちあけ話をきかれるまでは、海老塚氏が多門先生の孫に当る人であることを知らなかったほどであります。したがって犯人も知らなかった、それだけに、この予期せざりし人物の出現は利用価値が大であり、もし海老塚氏の発狂という事件がなければ、一馬殺しの容疑者として最後の仕上げに最も大きな役割をふられることとなったでしょう。幸か不幸か、海老塚氏は発狂して諸井看護婦を傷害し、留置されてしまったので、最後の仕上げも当初の計画に戻らざるを得ず、即ち、一馬先生の自殺という形による殺人事件が予定通りに行われることとなったのであります。