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しゅうとめとよめについて

与謝野晶子評論集

与謝野 晶子

線上閱讀与謝野 晶子《与謝野晶子評論集(しゅうとめとよめについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,148 字 · 31 頁

青空文庫

その必要に用立った後に私の母性が中心の位地を次に登って来た芸術性に譲り、その芸術性の無数な背景の一つとなって私の意識の奥に遠かってしまうのは当然である。二つの物は同時に同じ位地を占め得ない。子供を哺育する時に専ら母性中心であり、詩を作る時に専ら芸術性中心であるからこそ哺育と詩作の二つの事が私の生活に遂げられるのである。私はどうしても絶対的母性中心の生活を営み得る状態を想像することが出来ない。もし一刹那も子供から外に心を移さずにいて生涯をそれで貫徹することの出来る女があるなら知らぬこと、人間性は無限の欲求を生み、その欲求の一つ一つをそれが自分の成長に貢献するものである限り、尊重して忠実に履行するのが人間生活の自然であるとするなら、誰も一つの欲求に偏してはいられないはずである。

世間には自分の生活に公と私、主と客、真実と方便、本務と余技、第一義と第二義という風な差等を設けている人たちが少くない。私も近頃までは漫然とそういう二元的な物の見方を模倣していた。けれども真に現在に生きようとする自覚が明確の度を増して行くに従い、「人類の幸福の増加」という人間の本務――私の本務――に役立つ限り、万事が一様に自分の真実の生活であり、第一義の生活であるように感ぜられて来た。